アニサキス・アレルギー戦記

  • 2019.05.27

  物書きとして独立して35年余り、原稿執筆は基本的に朝型で、外出の予定のない日は朝6時か7時に起きて、自宅の仕事部屋で机に向かう。集中力を維持してぶっ続けで根気よく、というのが平気なたちだ。夕方まで休みなくという日が多い。  朝から9時間以上も文字と格闘すると、頭はふらふら、目はしょぼしょぼで、そろそろ限界だ。夕刻、今日はここまでと打ち切って、車のハンドルを握る。目的は夕食の食材探しで、近くの魚 […]

隠密日本脱出と3枚の航空券

  • 2019.04.09

  活躍中のノンフィクション作家の門田隆将さんは同じ高知県の出身で、中学、高校も同じ中・高一貫教育の私立土佐中学、土佐高校である。といっても、こちらは13年も先の卒業で、初顔合わせは高校を出て18年余りが過ぎてからだった。  私は1983(昭和58)年7月に第5回講談社ノンフィクション賞を受賞し、その年の暮れにフリーの書き手として独立したが、その直後、「『週刊新潮』編集部の門脇護です。土佐高の後輩 […]

「満州の妖怪」取材の思い出

  • 2019.04.07

  取材の現場で政治の観察を始めたのは1977(昭和52)年4月、月刊誌『文藝春秋』の契約記者となったときからで、30歳だった。  2ヵ月が過ぎた6月半ば、編集長の半藤一利さん(後に文藝春秋専務を経て現在、作家)と編集部の中井勝さん(後に『文藝春秋』編集長。現在、作家)から、「岸信介元首相の人物研究をやる。取材チームに」と指示された。時の首相は「岸の直系」といわれた福田赳夫さんで、政権を担って半年 […]

鎌田慧さんに教わったこと

  • 2019.03.04

  かつて新潟県に塚田十一郎さんという政治家がいた。  私は40年以上、政治の世界をウォッチしてきて、最高権力に到達する人、闘いに負けて去っていく人、浮沈を繰り返して生き延びる人、あるいは疑惑が露見して拘置所の塀の内側に落ちる人など、数多く見てきたが、塚田さんはこれらの人々とは違った意味で波乱万丈の生涯を送った政治家である。  今から22年前の1997年5月に93歳で長逝したが、塚田さんの名前に初 […]

岸信介さんの「健康法」

  • 2019.02.11

  戦後の首相は東久邇稔彦さんから現在の安倍晋三首相まで、全部で33人だが、この中で病気が原因で政権の座を離れたのは、石橋湛山さん、池田勇人さん、大平正芳さん、小渕恵三さん、1回目の首相の安倍さんの5人だ。  石橋さんは風邪からの肺炎と脳梗塞、池田さんはがん、大平さんは心筋梗塞、小渕さんは脳梗塞、安倍さんは潰瘍性大腸炎だった。  安倍さんは1回目、2006(平成18)年9月26日に首相となり、約1 […]

酒と政治家

  • 2019.02.11

   取材を通して日本の政治をウォッチするようになって42年になる。いろいろな政治家の生き方を見聞きしてきた。  1940年代から60年代前半にかけて活躍した大野伴睦(元自民党副総裁。元衆議院議長)という大物政治家がいた。1964(昭和39)年に73歳で人生を終えた。   死の直前、担当医が酒好きだった大野さんの最後の願いをかなえてやろうと思い、「ビールを一杯だけ」と許可を与えた。それを聞いた大野 […]

「嵐を呼ぶ男」

  • 2019.01.07

「嵐を呼ぶ男」とからかわれる。映画『嵐を呼ぶ男』で主役を演じた石原裕次郎のような雨男でもないのに、講演の日、台風や集中豪雨、大雪、地震などによくぶつかるからだ。  2018年12月までで計 360回を超えた時事通信社の内外情勢調査会の講師は、1993年1月の北海道の帯広市と釧路市が皮切りだが、釧路沖地震の直後の猛吹雪の日だった。95年1月の阪神・淡路大震災の日も、京都市で講演の予定があった。  2 […]

謎だらけのミステリー路線

  • 2019.01.07

 東武鉄道の東上線の沿線に移り住んだのは1977年の秋だから、まる41年になる。最初、朝霞台駅から徒歩10分の賃貸マンションにいて、2年後に現在の霞ケ関に引っ越した。   よその沿線と比べて、特に自慢のタネもない代わりに、我慢ならぬというほどの不満もない。サイタマでダサイと言われれば、確かに、という気もする。   だが、東京郊外で、適度に田舎の景色が残っていて、池袋までの往復も、林あり畑あり川あり […]

宮尾登美子さんのこと

  • 2019.01.07

『櫂』『一弦の琴』『鬼龍院花子の生涯』『天璋院篤姫』などの作品で知られた作家の宮尾登美子さん(1926年4月-2014年12月)は、私の同郷の大先輩である。 初めてお会いしたのは、今から35年余り前、1983年7月の暑い日差しの日だった。月刊『文藝春秋』記者だった37歳の私は、取材で東京都狛江市のお宅を訪問した。『文藝春秋』が旧満洲からの引き揚げ体験の特集を組むことになり、思い出話を聞いてくるよう […]